シロアリの被害にあうのは古い木造建築のイメージがありますが、じつは鉄筋コンクリート構造の建物であってもシロアリ被害の報告が多数あります。
頑丈でおしゃれなので、鉄筋コンクリート構造の住宅は人気がありますが、シロアリ対策に関しては木造住宅と同じく十分な注意が必要です。
鉄筋コンクリート構造の建物といってもすべての材料がコンクリートで作られているわけではなく、柱や天井、基礎の一部には木材が使用されています。
また、高温多湿で四季のある日本の気候にあわせて使用されている断熱材も、シロアリは好んで食べてしまいます。
鉄筋コンクリート構造の家でもシロアリ被害に注意するべき理由と、正しい対策方法を紹介します。
目次
鉄筋コンクリート構造でもシロアリ被害の報告多数!
冒頭でも紹介しましたが、鉄筋コンクリート構造の住宅であってもシロアリの被害にあってしまうことがあります。
2023年に提出された国土交通省補助事業でのシロアリ被害実態調査報告書では、調査対象地域内でのシロアリ被害の約40%に、布基礎かベタ基礎での鉄筋コンクリートの床下が確認されています。
鉄筋コンクリートの建物にも木材が使用されている
鉄筋コンクリートの建物でも、柱や天井、壁、基礎の一部などには木材が使用されています。
床下表面や外壁はコンクリートが多く使用されていますが、内部の一部には必ず木材が存在します。
シロアリはコンクリートをかじって穴を開ける
シロアリのあごは強く、コンクリートや断熱材・プラスチックもかじってしまいます。
コンクリートを餌にするのではなく、かじって穴をあけて奥に侵入することで、その先にある木材をねらっているのです。
「床下全面にコンクリートをしきつめているから」
「外壁をコンクリートで覆っているから」
といってシロアリの被害とは無縁と思い込み、何も対策をしないでいるのは危険です。
コンクリート基礎や外壁のすきまからシロアリが侵入する
コンクリート構造の盲点のひとつとして、コンクリートのつなぎ目にわずかにすきまができてしまうことが挙げられます。
目視できるか否かの小さなすきまなので、家屋の強度に関与するようなものではありません。
ところが、小さなすきまからシロアリが侵入して、木材や家具を食べてボロボロにしていくと、家屋全体の耐久性が弱まり資産価値も下がってしまいます。
基礎工事の過程でコンクリートを流すとき、すきまができてしまう原理を簡単に解説します。
床下のコンクリート構造は、おもに「布基礎(土間コンクリート)」と「ベタ基礎」の2種類があります。
布基礎(土間コンクリート)
土間コンクリートともよばれる「布基礎」は、逆T字の鉄筋コンクリートを柱と壁の下に配置し、床下の面にはコンクリートのみを流し入れる方法です。
布を使用するのではなく、逆T字型の鉄筋コンクリートを並べるところが布の繊維質のようにみえることから布基礎といわれるようです。(諸説あり)
コンクリートが敷きつめられるので見た目は次に紹介するベタ基礎と同じようですが、コンクリートの厚みはベタ基礎が15cmほどなのに対して、布基礎は5~6cmほどと薄いです。
コンクリートは、布基礎を設置するのとは別のタイミングで流し入れるので、逆T字型の鉄筋コンクリートと床下全体のコンクリートとが完全に密着することがありません。
ほんのわずかなすきまができるので、シロアリの侵入は防ぎきれません。
ベタ基礎
「ベタ基礎」は、家屋が建つ床下全体に鉄筋コンクリートを配置する方法です。
耐震性とシロアリ防除性が強いため、現在多くの住宅はベタ基礎で作られています。
ベタ基礎で使用するコンクリートは、布基礎で使用するものより分厚いうえに床下全面に鉄筋とともにいれるのでシロアリの侵入が防ぎやすいといわれています。
しかし、「ベタ基礎ならシロアリの被害とは無縁だ」と勘違いしてはいけません。
ベタ基礎でもコンクリートのつなぎ目やひび割れからシロアリが侵入する可能性は十分あります。
鉄筋コンクリート住宅のシロアリ侵入経路
・コンクリートのつなぎ目
・経年劣化によるコンクリートのひび割れ
・金属や配管のすきま
・水抜きの穴
つぎは、大切な家屋をシロアリから守るための方法を紹介します。
鉄筋コンクリートの家をシロアリ被害から守るために
鉄筋コンクリート構造の住宅であっても、木造建築と同じようにシロアリの被害にあってしまう可能性があることがわかりました。
シロアリの被害にあわないために、有効な対策方法を紹介します。
シロアリの定期点検
深刻なシロアリの被害にあわないためには、定期的に点検をして、もしものときに早期に介入できるよう備えておくことが肝要です。
シロアリの侵食はじわりじわりと進行するので、年に1回の点検をしていれば、被害の兆候を見つけたとしても早期の対応ができます。
床下に入り込んで隅々まで点検をするのは、素人にはむずかしいですし床下は暗くて釘や木材もでているため危険です。
シロアリ点検のプロである業者に依頼するようにしましょう。
シロアリの予防施工
シロアリが侵入してこないように、あらかじめ薬剤を散布しておくことも大切です。
「新築だからシロアリの被害とは無縁」といった考えは大きな間違いで、新築時のシロアリ防除剤は約5年間で効果がうすれていきます。
定期的に予防剤を散布しても、多くの薬剤効果は長くても5年間。
以前は10年間以上の薬剤効果が期待できる薬品も使用されていましたが、それだけ分解されにくい薬剤は環境や人体にも悪影響がある、とされ法改定がなされました。
一度シロアリ防除剤を散布・設置したから大丈夫、ではなく5年間を目処に再散布や再設置が必要です。
床下の除湿 ※ただし必要以上の湿気対策施工は注意
床下には湿気がたまりやすいですが、コンクリートで覆われている床下は、木材がむき出しの床下と比較してかなり湿気が少ないです。
ケースによっては、鉄筋コンクリートの床下と家屋の木材の接地面に湿度がたまり木材が腐敗してしまう、といったこともありますが、点検もなしに「床下は湿気がたまりやすいので湿気対策が必要」といって床下換気扇や除湿剤の設置をすすめてくる業者には注意しましょう。
床下に木材やダンボールを放置しない
シロアリが侵入してくるのは床下ばかりではありません。
庭の木材や放置されているダンボールも、シロアリにとってはごちそうです。
床下点検は今すぐに自分でできることではありませんが、庭の片付けやダンボールを放置しない習慣づけは今日からできることです。
庭に木材やダンボールを放置することは、シロアリを招き入れるような行為になってしまうので、日々できることから対策をしていきましょう。
コンクリートのすきま・ひび割れの補修
コンクリートは、気温や湿度の変化、雨風によって劣化していきます。
経年劣化によるひび割れや伸び縮みは、家屋の耐久性に大きく影響するわけではありませんが、シロアリの侵入口にはなり得ます。
シロアリはわずかなすきまやひび割れを見つけて、そこからじわじわとコンクリートをかじって床下に侵入してきます。
家屋のメンテナンスとして、床下や外壁、天井のすきま・ひび割れを補修してシロアリの侵入経路を減らしましょう。
鉄筋コンクリート構造の住宅でもシロアリの油断は禁物
鉄筋コンクリート構造の住宅や床下にコンクリートを敷きつめていても、シロアリ対策は必要です。
シロアリはコンクリートをかじって家屋の内部に侵入し、柱や天井に使用されいてる木材、家の中に置かれている家具をじわりじわりと食べてしまいます。
シロアリ対策で一番効果的なのは「定期点検と予防施工(薬剤散布)」です。
自分で床下や天井裏などすみずみまで点検をするのは難しいので、専門業者へ依頼しましょう。
シロアリ予防・駆除の専門業者の多くは、無料での調査・見積もり作成をおこなっています。
見積もりをしたからといって必ず契約をしなければいけない、ということではないので、まずは無料で点検をしてもらおう、くらいの気持ちで依頼してみてください。
シロアリ専門業者の優良企業はこちらで紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね🐜